【中小企業診断士】財務分析って大事?

診断士として活動してまだそれほど長いわけではありませんが、財務分析とかについて本業での投資管理経験等も踏まえてちょっとお話してみます。今日はすこし真面目に(いつもはテキトーだからな)

 

ちなみに診断士2次試験 平成29年度(落ちたやつ、チッ)の事例Ⅰ~Ⅲを解いてみたシリーズ、次はちゃんと事例Ⅳもやりますよ

ただ、その前に財務分析。毎年財務分析が第一問に設定されていて、かなりの点数を占めています。財務分析をレベル高く仕上げておけば事例Ⅳは大丈夫、という人もいますね。

その通り!だとぼくも個人的に思ってます。

逆に第一問の財務分析をミスると、対象企業の特徴をつかみ間違えることになり、そのあとの設問での失点に繋がる可能性大です。 

 

試験突破という目的でも重要ですが、その先の診断士としての活動でも、診断士ではなく会社勤めでも、財務分析(だけでなく財務の知識全般に言えますけど)は非常に重要です。

特に会社経営をやっていくには間違いなくマストのスキルとなると言えます。

営業を極める方、技術を極める方等、専門職的に極めていく方は一概にはそうとは言えませんが、経営全般に携わるなら必ず必要です。例えば自分の会社の社長が「数字全然わからん!」とか言ってたらイヤでしょ?

経営者は財務の専門家である必要はありませんよ、勿論。ただ、パッと要約された財務数値を見て、その意味することが何なのか、何をしたら経営が良くなるのか、を数値面から判断・決断していくことが必要です。そのための最低限のスキルは身に着けておきましょうね、という話です。

 

ということで、なんで財務分析が大事なのか?

 

 

 

1. 数字はウソをつかない!

財務数値に限ったことじゃないですが、数字というのは状況・状態を定量的に示したものであって、恣意的だったり悪意があったり、又は間違っていたりしなければ、数字はウソをつきません。

言い換えると、「数字の背後には原因がある」ということ。このことをまずは念頭に置いて財務分析に取り組んでみましょう。

 

診断士試験でもまさにその通りで、「財務分析せよ」と出題されているからには、その会社の財務数値から何かが読み取れるわけです。つまり数字の裏にある原因を読みに行かせている、ということになりますね。

 

ちなみに数値面の感度を上げておくと、悪意ある数値(いわゆる改竄系)や間違い数値もピーンと来るようになります。これはたぶん経験と慣れの問題もあると思いますが。

 

2. トコトン掘ると何かが見える!

さて、数字はウソをつかないという前提のもと、財務分析をしたとしましょう。

診断士2次試験の財務分析でも、以下切り口で分析をすることが常套手段です。

 ①収益性:ちゃんと収益上げられてる?利益出せる構造になってる?

 ②効率性:無駄なく売上獲得出来てる?ヘンな重荷背負ってない?

 ③安全性:会社は財務面で元気?倒れたりしない?

限られた時間80分で解く試験なので、あまり難しく複雑な分析をしているヒマはないので、やることは極めてシンプルですが(この辺の解き方は追って説明します)、実際の実務でもそれほどやることは変わりません

 

この3つの切り口って、会社経営がどうなっているかを見るときの基本ポイントです。例えば、投資先企業の管理を行う場合、投資先企業がどうなっているかな?と気になりますよね。

①ちゃんと儲けられているかな?競合他社よりも収益性高いかな?去年よりも収益性落ちてたりしないかな?

②売掛債権とか在庫が重くなってないかな?固定資産過剰になったりしてないかな?ちゃんと売り上げに結びついているかな?

③借入金多すぎてないかな?現金ちゃんと手元に残ってるかな?

といった観点です。

 

■支援例その1

一番分かりやすいのは①収益性です。実際にぼくが経験したケースの中で、売上は毎年上がっているのに、営業利益率が毎年下がっている会社がありました。

これだけ見ると、「なんとかしろ!」となるわけですが、経営者(ぼくは経営者ではなく支援者でしたが)としては「〇〇を××して改善していこう!」という号令を出さなきゃいけないわけです。

 

何をやったかと言うと、その企業の売上をセグメント分解し(例えば製品別、事業別、地域別等適切な切り口)、その分解に基づいて営業利益まで算出して、どのセグメントが足を引っ張っているのかを確認します。

その過程で、売上高総利益がそもそも下がっているのか、そうではないが営業利益だけが下がっているのかも確認(その時は営業利益だけでした)。

では費用項目別に見て何か変な動きをしているものはないだろうか?何かが悪さしてないだろうか?と見てみます。

 

大体このへんまで来ると、「あ、こいつだ」というアイテムが見えます。あとは改善するだけ。

といってもその改善がなかなか難しいんですけどね。こればっかりは自分ではない誰かが実際に働かなければならないので、人を動かすっていう組織・人事的、事例Ⅰ的な要素に突入するわけです。

 

ちなみにぼくのケースでは悪さをしていたのは人件費と消耗品費。特定セグメントのコストである人件費が毎年上がりつつあり、消耗品が仕入先との交渉不足により高騰。本来であればそれらをコントロールしつつ、一部は売上側に転嫁しなければならなかなったのに、コスト側担当者(バックオフィス)と売上側担当者(営業)が全く連携していなかった、というのが問題の本質でした。

 

3. 財務分析から先に繋がる!

財務分析は試験対策上も、実務での入り口でも、先ほどの3つの切り口からスタートです。ここで出た問題・課題、その対応策というのが会社の取るべき道になってくる感じです。

中小企業の目的は勿論まずは「生き残ること」。でもその先には会社を大きくして、「株式公開」だったり「第三者への売却」だったりがあると思うんですよね。

日本だとそのマインドはまだまだ少ないですが、シリコンバレーやイスラエルのスタートアップ企業経営者とかは、最初からこの辺を目指して走っています。

そしてそれらが成し遂げられると、また次の事業を興したりするわけです。

 

さて、では将来的に会社を売却していきましょう、となると当然ながら「出来るだけ高く売りたいよね」となります。高く売るっていうのはなんだろう?

 

企業価値を高める、株式価値を高める、ということに他なりません。

財務理論上、企業価値を高めるのは将来キャッシュフローが重視されます。将来性がある、夢があるというのは勿論ですが、それらが定量的にもある程度証明できなければ、第三者や市場は価値を認めてくれません。

(ちなみに非上場会社の企業価値評価は色々なやり方がありますが、ぼくはやっぱりオーソドックスにDCF(Discounted Cash Flow)法が一番しっくりきます。ずっとそのやり方で買収案件やってたからかな。DCFについてはまたいつか)

 

財務分析はあくまで現在の姿を映し出すツール。過去に比べて、競合他社にくらべて、今の会社はどうなのか?を見ます。そのうえで、課題を洗い出し、課題解決を行うことで財務体質を強化し、強固なキャッシュフローを生み出す会社にしていく、ということですね。

 

■支援例その2

ぼくの支援した別の会社では、「売上も上がっているし、利益も出始めているんだけど、金が足りなくて借入に頼らざるを得ない」というケースがありました。

 

確かに数値を見てみると悪くない感じ。特に損益計算書(PL)は非常に良い。つまり収益性が高いわけです。

あれ?と思って貸借対照表(BS)を見てみると、効率性が低い。つまり売上債権(売掛金)や棚卸資産(在庫)が激増している状況。安全性の観点で言うと、すぐに何かヤバいことが起きるというレベルではないものの、確かに借入金が増えているし、流動性も落ちている

典型的な黒字倒産に向かうパターンっていうやつです。

 

話を聞いてみると、

(1) 在庫は多いほど即納体制が取れるし、品切れの心配もない。

(2) 客先からの支払いは遅れ気味だが、最後には払ってくれるからたぶん大丈夫

(3) 買掛金は溜めておくの嫌だから期日関係なくすぐに払うことにしている

とのこと。これだと運転資金増大を招きますね。

 

中小企業ってキャッシュフロー計算書を作っていないところが多く、簡易キャッシュフロー計算書を作成して説明すると「え、そうなの?これまずいよね?どうしたらいいの?」とご理解いただけるケースが多いです。

 

このケースではシンプルに在庫コントロールの徹底、売掛金の支払い督促実施、買掛金の期日通り支払をすぐに取り組んでもらい、以降大分資金的には楽になりました。

 

何が言いたいのか、というと財務分析で①収益性、②効率性、③安全性を分析することで、キャッシュフロー分析をする必要があるよね?ということが分かったというお話。

ちなみにこの会社はキャッシュフローも安定し、財務体質も大分よくなったため、取引先大手からの出資受け入れについて現在協議中だそう(それまでは取引先大手も、「ちょっと今のままだと出資できないっすねー」という感じだったとのこと)。

キャッシュフロー改善が企業売却(一部)に繋がりそうなケースでもあります。

 

 

4. 終わりに

大企業は営業部門等のフロント部隊もあれば、財務部門・管理部門等のバックオフィスもあるわけで、財務分析は仕組化されているケースが多いです。

一方の中小企業は人が限られていることや、まずは強みである商品力の強化や技術力の強化、主力商品・サービスの売り込み(営業)等に注力する必要があることから、どうしても財務面は優先度が低くなってしまうケースも多々あります。

そのため、診断士のような支援者が、経営者に寄り添って会社全体の状況も理解しながら、財務面のみならずあらゆる面で、現状分析・問題点/課題点指摘・対策立案/提案を行っていくイメージです。実行はあくまでその経営者本人ですが、伴走しながら実行を側面支援していくことに中小企業診断士の価値があると個人的には考えています。

 

さて、財務分析がなぜ大事か、というお話でした。いつもよりも少しだけ真面目に話してみました。やっぱりこういうの向いてないな。

 

次は診断士2次試験平成29年度事例Ⅳ解いてみます、たぶん。リベンジマッチだ(結果Bで不合格判定だったやつ)。

 

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