中小企業診断士 【2次試験解こうぜ】平成29年度 事例Ⅳ(その2)※まだ続く

診断士に求められるスキルってなんだろね?ということをちょっと考えていたのですが、面倒なのでググってみました。その結果。

 

www.tensyoku-station.jp

 

ドンピシャなサイトが出て参りました。こちら曰く

■ロジカルシンキング

■コンセプチュアルスキル

■PCスキル

だそうです。どうでもいいですが、このサイト、カタカナが多い。別にいいんですけどね。ただなんかカタカナ連発するのって、いまだに意識高い系就活生とか新入社員みたいで苦手なんですよね・・・。

言ってることはまぁ分かります。

中小企業の経営者が考えていることを概念含めて分解して、論理的に組み立てて説明していく、それらを作業し可視化する為のツールとしてのPCスキル。なるほどです。

ただ、やはりぼく個人としては、「定量面」での説明ほど明確に見せられるものはないと思っているので、最低限の財務・会計知識とそれらをかみ砕いて説明できる能力っていうのがものすごく大事なんじゃないかな、と思ってたりします。

f:id:setagayadezil:20200323234738j:image

 

さて、ちょい真面目な前置きはこのくらいにして、前回スタートした診断士2次試験平成29年度事例Ⅳ(財務・会計)の続き。

www.setagayadezil.com

 

他事例だと一事例全2回でお送りしてきましたが、どうも財務会計はもう少しかかりそうな感じなので、とりあえず今回は第二回ということで大問の経営分析について解いてみます。残りはこの後、ということで。

 

 

4. いよいよ解くよ!

(1) 第1問

(設問1)

財務会計の要、経営分析(=財務分析)。この年は第1問全体で25点と低めでしたが、さりとて25点。ここは出来れば感触的には満点近くを確保しておきたいところです(と言っても採点基準が不明なので満点にはならないのでしょうけど)。

D社の課題財務指標を2つ、優れている指標を1つ。問い方自体は比較的オーソドックスな感じです。問題文を読みつつ機械的に算出した主要財務指標を基に、いざ解いてみましょう。

 

【収益性指標】   D社    他社

売上高総利益率  12.70%   20.22%

営業利益率      5.62%     7.49%

販管費率       7.09%            12.73%

 

【安全性指標】   D社    他社

自己資本比率   14.85%   52.04%

負債比率      573.47%          92.10%

流動比率      150.00%         158.02%

当座比率      122.38%         118.81%

 

【効率性指標】   D社    他社

固定資産回転率   1.82回          1.77回

有形固定資産回転率 1.93回     1.82回

売上債権回転率   9.95回     7.63回

棚卸資産回転率   22.95回    14.05回

 

さて、こんな感じ。ちなみに数字上では青文字がD社が他社より優れていて赤文字は他社より劣っているもの。

基本的には課題の指標は赤文字から、優れている指標は青文字から選べばOK、あとはどれを選ぶか、という話です。

課題x2 + 優秀x1なので合計3個。ここはセオリー通り、収益性・安全性・効率性から一つずつバランスよく選んでみるのが良さそう。

パッとみたところ、収益性と安全性は赤文字が目立つので、たぶん「課題指標」、効率性は青文字ばかりなので「優秀指標」になると目星を付けておきます。

 

【収益性指標】

収益性指標は課題かな?と考えつつどれを選ぶか。収益性が低いので、その改善が課題となるわけですが、では売上総利益率なのか営業利益率なのか。どちらも他社比で低いのですが、よく見ると売上高総利益から営業利益に至る間にD社少し改善しています。他社比で販管費率が低い。

ということはそもそもの問題は売上総利益なのではないか?と考えつつ、問題文を再度確認してみます。

第3段落で色々とネガティブなことが書かれていますが、

■得意先との交渉による適正料金の設定によって採算を改善すること

☞つまり売上高がそもそも圧迫されているっぽいぞ。

■生産プロセスの見直し、省エネルギー診断にもとづく設備更新、原材料のVA及び物流の合理化による加工コスト削減

☞加工コストの話をしているのでこれは製造原価、つまり売上原価の一部に入ると考えられ、ここが高止まりしているっぽいぞ。

と推測できます。つまり「売上高総利益率 / 12.70%」が妥当かと。

 

ちなみにD社は経常利益率(計算していませんが)が他社よりも大分低く、「経常利益率」でも得点は入りそうな気配ではあります。実際に金利支払と見られる営業外費用もかさんでいますし。ただ、先ほどお話した営業利益で少し回復している、というポイントも加味すると、「そもそもの売上高総利益率が低いのが原因なのでは?」に帰着するイメージです。

税前利益・当期利益も勿論他社比低いですが、これは特別損失が発生しているものであり、特別損失は通常一過性項目と考えられるため、税前利益率や当期利益率を課題指標とするのもだいぶ違和感あります。

 

【安全性指標】

次に安全性指標。これは見て一目瞭然で、自己資本比率か負債比率のどちらかでしょう。この二つの指標は同じ事象を別の角度から表現しているに過ぎませんが、何をフォーカスすべきか、という考え方で選んでみましょう。

自己資本比率も負債比率も「資本構成はどうか?バランス良いか?」という点を示す指標です。ですが、診断士2次試験事例Ⅳでは、ぼくは基本的に以下の観点で見ます。

 

自己資本比率☞純資産を分厚く出来ているか?内部留保はしっかり溜まっているか?

負債比率☞借入依存になっていないか?

 

つまり、これらが課題だとすれば、純資産がペラペラなのか、借入依存なのか、で考えます。本問のケースだと、D社は明らかに他社よりも借入規模が大きい状態ですので、負債比率を選択するのが妥当、と言えます。

従って「負債比率 / 573.47%」にします。

 

余談ですが、自己資本比率が高いことがいいこと、とは言い切れません。あくまでBSは全体感として適切なバランスを持てているのか、という点も重要です。

例えば、「内部留保が大きく溜まり自己資本比率が高い会社。現預金も潤沢」というケースがあったとします。中小企業であれば、株主も経営者一人だけだったりするので誰も文句言わないでしょう。但し、これが複数株主のいる会社だとすれば、株主視点で考えると、

再投資もせずに現預金抱え込んで、内部留保溜めやがって。配当しろ!

という話になります。配当すら出てこない会社は投資効率が悪すぎますので、資金引き上げだ!という話になりかねません。株主からすれば、会社経営に必要な資金は借入で賄え、レバレッジをしっかりと効かせて企業価値を高めろ、という理論になるわけです。

これはあくまで一例ですが、経営者の本来の仕事は「株主から預かった資金を使って事業を拡大し、株主に還元していくこと」でもあります。欧米的な考え方ではあるものの、企業経営とはかくあるべきなんです、理論上は。

ただ、中小企業は株主還元以前のステージにいることが多いため、まずは継続・生き残りをかけて経営していくことになります。

 

【効率性指標】

最後の効率性指標。これが優秀指標に当たりそうです。先ほど挙げたどの指標も他社比上回っていますが、ここで問題文を再確認。

 第2段落で「子会社であるD-a社がその仕立て、包装荷造業務、保管業務を行っている」とのこと。要は物流子会社を持っているわけですね。

指標で「棚卸資産回転率」が22.95回、と他社の14.05回を上回っていますが、これは物流子会社で保管業務、つまり在庫管理をしっかりと行っている為、と解釈することが出来そうです。

固定資産回転率・有形固定資産回転率・売上債権回転率も確かに他社比多少は良いのですが、これを裏付ける記載が問題文にないため採用見送りにしちゃいます。

ということで、「棚卸資産回転率 / 22.95回」にしてみます。

 

最終的に解答案として

課題指標 : 売上高総利益率 / 12.70%

課題指標 : 負債比率 / 573.47%

優秀指標 : 棚卸資産回転率 / 22.95回

 ということで。

 

(設問2)

D社の財政状態及び経営成績について、同業他社と比較した場合の特徴を40字で。これはキツイ。40字という字数制限が相当きついです。

 

先ほど設問1の3つの指標を超端的に表現していきます。表現方法としては、

~~が良いが、~~と~~は悪い

のような表現で行きましょう。

もう一気に解答書いちゃいます、こんな感じ。 

 

子会社活用で棚卸資産効率高いが、資本構成が脆弱かつ高コストにより収益性が低い。

(40字ギリギリ)

 

まとめ

この年の第1問は経営分析指標選択が少し難易度高かったような印象です。とくに収益性指標は経常利益率でも妥当性ないとは言い切れず、効率性指標は子会社の「保管業務」という表現を見落とすとどれも説得力に欠ける指標になってしまいます。

他設問も難易度が高かったり、そもそも問題の解釈が難しかったり、クソポエム問題がラストに鎮座していたり、とカオスな問題だったので、この第1問の出来が明暗を分けたのではないかと思います。

 

かくいうぼくも、収益性指標をたぶん落としています(よくわからなくなって「当期純利益率!」とか暴発した解答にしたような記憶・・・)。

 

ということで、今回は第1問まで。残りは次回以降で(あと2回くらいかかりそうな気配)。

 

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